一般財団法人 山本美香記念財団(Mika Yamamoto Memorial Foundation)

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2015年5月
第2回「山本美香記念国際ジャーナリスト賞」 決定

第2回「山本美香記念国際ジャーナリスト賞」にリカルド・ガルシア・ビラノバ氏
シリア内戦を取材した「CHILDHOOD UNDER SIEGE」をはじめとする、
中東各地の紛争地を取り上げた一連の作品が受賞

リカルド・ガルシア・ビラノバ氏

「山本美香記念国際ジャーナリスト賞」の第2回授賞式が、5月26日、都内の「日本出版クラブ」にて開催され、スペイン人フォトジャーナリスト、リカルド・ガルシア・ビラノバ氏が受賞した。 2011年からシリアの取材を続け、「イスラム国」に半年間にわたり拘束されるという経験をしながらも、再びシリアに戻り取材を続けた。彼のジャーナリストとしての姿勢、紛争下に生きる人々の姿を伝え続けるという熱意は、その作品「CHILDHOOD UNDER SIEGE」に表現された圧倒的な報道の力を感じさせる。

第2回の受賞者および対象作品 リカルド・ガルシア・ビラノバ氏
シリア内戦を取材した「CHILDHOOD UNDER SIEGE」をはじめとする、中東各地の紛争地を取り上げた一連の作品
選考委員総評

「イスラム国」による日本人ジャーナリスト殺害により、日本においてもシリアやイラクにおける紛争が大きく取り上げられた。しかし、日本人殺害という「事件」は伝えられたものの、紛争や抑圧のもとに生きる人々の姿が知られる機会とはならなかった。

リカルド・ガルシア・ビラノバ氏は、2011 年のシリア内戦当初から現地に何度も足を運び、取材を続けた。その後、「イスラム国」によって約半年間にわたり拘束されるという経験をしながらも、解放後には中央アフリカやリビア、イラクなどの取材を経て、シリアのコバニ攻防戦でクルド人部隊に従軍し、自らを拘束した「イスラム国」と対峙する現場に向かう。

彼の写真は、その一枚一枚が砲弾の破片のように、見る者の胸に突き刺さる。人々の嘆き、まるで大人のような眼をした子どもたちの視線、腐敗した死体、廃墟の街。それらは戦争から遠い場所にいる我々に、同時代の同じ時間に戦渦にさらされて生きる人たちがいる、という現実を突き付けてくる。その圧倒的な作品の力と、過酷な体験を経ても再び現場に戻ってゆく強靭な精神力は、この賞に値する。

授賞式 日時:2015年5月26日
場所:日本出版クラブ

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